救世主 タン

時はダンシュ暦元年。

御左気の国。

200年もの間、天下を統治していたインシュ幕府はついに倒れた。

新しい時代の幕開けである。

しかし、新たに発足したダンシュ政府は、いまだ各地の混乱を鎮火できずにいた。

ダンシュ政府の中枢には、ヤルキ大臣、ゲンキ大臣、イワキ大臣といった面々が政務を摂っていた。

どの面々もインシュ幕府の倒幕に大きな功績を残している。

ヤルキ大臣は心藩の出である。

倒幕の大きな原動力となり、現在のダンシュ政府において権力集中の重要な役割を果たしている。

ゲンキ大臣は脳藩の出である。

奇しくも出身藩の名のごとく、ダンシュ政府の頭脳としての役割を果たしている。

諸外国との交渉事もとり行なっている。

イワキ大臣は体藩の出である。

政府においては、現在各地の反乱鎮静化に尽力している。

 

「ヤルキ大臣、旧深心藩が未だインシュ幕府の再興をもくろんでおります。

旧深心藩は諸外国より最新式の武器を購入しております。

その名もインシュヨッキュウ式連射砲なるもの。

我らダンシュ政府は未だ脆弱です。

早急に対処しなければ政府転覆の恐れは拭えません」

 

「むぅ。もし旧深心藩とやり合えば勝算はあるか?イワキ大臣」

 

「…おそらく負け戦になるでしょう。

それほどインシュヨッキュウ式連射砲は強力です。

今まで築き上げてきたものを一瞬にして無に帰すほどです」

 

各地に反乱の火種は抱えている。

発足間もないダンシュ政府は各地の反乱に頭を抱えていた。

特に恐れていたものは、インシュヨッキュウ式連射砲と呼ばれるものであった。

当時としては最新の武器であり、ダンシュ政府の抑止力をはるかに超えていたのである。

旧深心藩にインシュヨッキュウ式連射砲を流していた人物は、ルービー列強の「ボール・ハイ」という人物であった。

彼はルービー列強の御左気国植民地化計画のため、御左気国の内乱を望んでいたのである。

 

 

タンは貧しい農民の出である。

幼い頃は弱虫タンと言われ泣きべそをかいていた。

時は流れ、タン34歳の時インシュ幕府は倒れた。

タンは昨今の情勢を憂いていた。

「今こそ御左気国が一つになるときぜよ。

ルービー列強が攻めてくるぜよ」

タンはダンシュ政府の中枢の一人、ダン・ダンシュウに弟子入りしていた。

「タンよ。この国を救いてぇって言うんなら、インシュヨッキュウ式連射砲を一丁盗んで来るんだ。

それでそいつをチャー・レンジに渡すんだ。

インシュヨッキュウ式連射砲を上回る武器を作ってくれるはずだ」

タンはこの国を救いたい一心で駆け巡った。

そして手に入れた。

「チャー・レンジ殿。これを改良していただきたい」

チャー・レンジはタンの全身から、すべての苦苦覚悟を感じ取った。

そして数日が経った。

「タンよ。できたぞ。これをダンシュ政府で量産するのだ。

難しくはない。できるはずだ」

「ありがとうございます。この武器の名は?」

『タン・サンシュイ』

タン・サンシュイを手に入れたダンシュ政府は、瞬く間に各地の反乱を鎮圧した。

これにより御左気国は近代化への道を歩むこととなった。

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